新海誠監督の代表作であるアニメ映画『秒速5センチメートル』が、初めて実写映画化され、2025年10月10日公開予定となっています。原作者でありアニメ監督でもある新海監督は、完成披露試写会で「後悔があったアニメ版」を観るたび感じていた未熟さと、自らの表現に満たなさを抱えていた心境を吐露しました。ですが、実写版を観たとき、予想以上に映像と演技に心を動かされ、「作っておいて良かった」という思いが初めて心から湧いたとも語っています。
この実写版は、アニメで描かれた三つの短編を基にしながら、生身の俳優が時間と距離、すれ違いを抱え続ける人間の心情を丁寧に映し出す構成。主人公・遠野貴樹を演じるのは松村北斗、明里役は高畑充希というキャストが起用され、二人の演技が「原作者がキャラクターを改めて理解するきっかけになった」と新海監督は述べています。
試写を経て新海監督は、映像に没入し、知らず涙を流していたと告白。アニメ版制作当時、自分でも理解しきれなかったキャラクターの心情が、今回の実写版で演者たちの芝居を通じて新たに見えてきたというのです。観た人に対し、「期待して観てほしい」と強く語り、実写化という挑戦の意味を、監督自身が深く実感している様子が伝わってきます。
未熟さや「アニメだからこそ表現できた部分」への後悔を抱えていた新海監督。しかし今回、原作への敬意を保ちつつ、新しい形で“未熟だったあの頃”の自分と向き合い、観客へ届けることができたことに、彼はある種の救いと安堵を見出したようです。
新海誠監督について
以下、新海誠監督の主なプロフィールとキャリアをまとめます:
- 本名・出生:新海 誠(しんかい まこと)、本名は新津誠。1973年2月9日生まれ。長野県南佐久郡小海町出身。
- 職業・活動:アニメーション監督、脚本家、作家として活動。コミックス・ウェーブ・フィルム所属。
- 代表作:短編『ほしのこえ』、長編『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』など。
- 作風:風景描写が非常に美しく、時間と距離、すれ違い、孤独、切なさといった感情を繊細に描く傾向が強い。視覚的な美と内面の情感とのバランスが魅力。
- 評価・経歴:個人制作の短編で名を上げ、次第に大規模作品を手がけるようになり、「君の名は。」などでは国内外で大きな商業的成功を収めている。
この新しい実写版『秒速5センチメートル』は、アニメで育まれたファンの期待も高く、また新海誠監督自身も「過去の自分」「未熟さ」を抱きつつも、それを肯定できる瞬間を得た作品と言えそうです。公開が待ち遠しいですね。


